屋根塗装のタスペーサーとは?正しい入れ方と屋根材の割れ補修をプロがQ&Aで解説
スレート屋根の塗装工事では、塗料の種類や塗り回数だけでなく、 タスペーサーをどこに入れるか、割れた屋根材をどのように補修するか といった細かな施工判断も非常に重要です。
一見すると小さな部材ですが、屋根材の形状や幅、割れの状態を確認せずに施工してしまうと、 かえって屋根材へ負担をかけてしまう場合があります。
そこで今回は、実際の現場で迷いやすいポイントをQ&A形式で分かりやすく解説します。
静岡市で屋根塗装やスレート屋根のメンテナンスをご検討中の方も、 「きちんとした屋根塗装とは何を確認して施工するのか」という視点で参考にしてみてください。
この記事の結論
タスペーサーは、ただ屋根材の隙間へ差し込めばよい部材ではありません。 屋根材同士の突合せ目地を避け、屋根材の幅や形状に合わせて適切な位置・数量で使用すること が重要です。 また、屋根材にひび割れがある場合には、その割れ方や位置を確認したうえで補修方法を判断する必要があります。
この記事の監修・解説
株式会社ハウスケア静岡
静岡外壁塗装相談センター
代表 及川 勝己
一級塗装技能士・建物劣化診断士
静岡市を中心に、外壁塗装・屋根塗装・屋根補修・雨漏り修理などの現地調査から施工管理まで対応しています。
目次
- そもそもタスペーサーとは?
- Q1. タスペーサーは屋根材同士の「突合せ目地」に入れてもいい?
- なぜ突合せ目地の真下は避けるの?
- Q2. 幅600mmの屋根材にもタスペーサーを2個入れた方がいい?
- タスペーサーを入れすぎるとどうなる?
- 屋根材によって施工方法は同じではありません
- 割れたスレート屋根はどう補修する?
- Q3. 表面だけが割れている屋根材にタスマジックは使える?
- 「ひびが見える=同じ補修方法」とは限りません
- Q4. 屋根材の重なり奥まで割れている場合はどう補修する?
- なぜ「くさび」で隙間をつくるの?
- Q5. スレート屋根が横方向に長く割れてしまった場合は補修できる?
- 横に長い割れを補修する手順
- 割れが長いからといって、すぐ交換とは限りません
- タスペーサーも屋根補修も「施工判断」が重要
- タスペーサー・屋根補修のよくある質問
- 屋根塗装業者を選ぶときに確認したいこと
- 現地調査で屋根の状態を確認してもらう
- 施工前・施工中の写真を残してもらう
- 静岡市で屋根塗装をご検討中の方へ
- まとめ|タスペーサーは「入れ方」まで確認することが大切
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そもそもタスペーサーとは?
タスペーサーはスレート屋根の塗装時に使用される部材で、 屋根材の重なり部分に適切な隙間を確保するために使用されます。
スレート屋根は、屋根材同士を少しずつ重ねながら施工されています。 屋根塗装を行うと、この重なり部分に塗料が入り込むため、 施工方法によっては屋根材同士が密着しやすくなります。
そこで使用される代表的な部材が「タスペーサー」です。
ただし重要なのは、 「タスペーサーを使ったから安心」というわけではないという点です。
屋根材の形状、働き幅、突合せ目地の位置、割れの有無などを確認しながら施工しなければなりません。
Q1. タスペーサーは屋根材同士の「突合せ目地」に入れてもいい?
A. 基本的にはNGです。突合せ目地から離して挿入します。
屋根材同士が左右に接している部分を「突合せ目地」と呼びます。
タスペーサーを使用する際は、 この突合せ目地の真下へ挿入するのではなく、 目地から離した適切な位置へ挿入することが重要です。
突合せ目地の直下へタスペーサーを入れてしまうと、 上から屋根材を踏んだ際に屋根材の角部分へ負担がかかり、 角割れを起こす可能性があるとされています。
なぜ突合せ目地の真下は避けるの?
スレート屋根材は薄い板状の建材です。 そのため、荷重のかかり方によっては局所的に大きな力が加わります。
特に屋根材の端部や角部分では、 タスペーサーによって下から持ち上げられた状態で上から力が加わると、 割れにつながる可能性があります。
そのため施工時には、 単に一定間隔で入れていくのではなく、 屋根材の継ぎ目を確認しながら位置を判断する必要があります。
専門家からひとこと
屋根塗装は完成後だけを見ると、塗膜がきれいに仕上がっているかどうかに目が行きがちです。 しかし実際には、こうした「完成後には見えにくい工程」に施工品質の差が出ます。 タスペーサーの位置まで確認しながら施工することが大切です。
Q2. 幅600mmの屋根材にもタスペーサーを2個入れた方がいい?
A. 2個使えばよいというわけではありません。資料では1枚挿入が基本とされています。
一般のお客様からすると、 「屋根材が広いならタスペーサーも多く入れた方が安心なのでは?」 と思われるかもしれません。
しかし、タスペーサーは数を増やせば性能が高くなる部材ではありません。
施工資料では、働き幅600mm程度の屋根材に対して無理に2枚使用すると、 タスペーサー同士の距離が近くなりすぎる場合があるため、 1枚挿入を基本とする考え方が示されています。
タスペーサーを入れすぎるとどうなる?
タスペーサー同士の間隔が狭くなりすぎると、 屋根材が必要以上に持ち上がる状態になる場合があります。
このような状態になることで屋根材の 「たわみ」が大きくなり、踏んだ際の割れにつながりやすくなる ことが注意点として挙げられています。
つまり、
「屋根が大きいから2個」
「たくさん入れた方が安心」
という単純な判断ではなく、 その屋根材の寸法や形状に合った施工方法を選ぶこと が重要です。
屋根材によって施工方法は同じではありません
スレート屋根と一口にいっても、 製品によって幅や形状、スリットの有無などが異なります。
そのため、現地調査や施工時には 「スレート屋根だからいつも同じ施工」 と決めつけないことが大切です。
製品の形状や現在の劣化状態を確認し、 必要に応じて施工方法を判断することが、 屋根材への余計な負担を防ぐことにつながります。
ここまでのポイント
- タスペーサーは突合せ目地の真下を避けて挿入する
- 不適切な位置へ入れると屋根材の角割れにつながる場合がある
- 幅600mm程度の屋根材では、資料上は1枚挿入が基本
- 「たくさん入れればよい」のではなく、屋根材の形状・幅に合わせて施工する
割れたスレート屋根はどう補修する?
スレート屋根のひび割れは、すべて同じ方法で補修できるわけではありません。 割れの深さ・位置・方向・屋根材の重なり部分まで破損しているかを確認したうえで、適切な補修方法を選ぶ必要があります。
屋根塗装の現地調査を行っていると、スレート屋根に細かなひび割れや欠損が見つかることがあります。
こうした割れに対して使用される補修材のひとつが、 「タスマジック」です。
タスマジックは、割れた屋根材の断面に補修材を浸透させ、 屋根材を接着・補強するために使用されます。
ただし、 「ひび割れがあれば、とりあえず補修材を塗ればよい」 というものではありません。
屋根材がどこまで割れているのかによって、 補修材が十分に浸透する場合と、十分な補強効果を得にくい場合があります。
Q3. 表面だけが割れている屋根材にタスマジックは使える?
A. 使用することはできますが、本来の補強性能を十分に発揮できない場合があります。
タスマジックの特徴は、 割れた屋根材の断面へ補修材を浸透させ、両側から接着・補強すること にあります。
そのため、屋根材が完全に割れておらず、 表面部分だけにひび割れが発生している状態では、 補修材が割れの断面全体へ十分に浸透しない場合があります。
見た目だけではひび割れが確認できても、 内部まで完全に割れているとは限りません。
このような場合、 タスマジック自体を使用することはできますが、 完全に割れている屋根材を補修するときと同じ補強性能を期待できない場合がある という点には注意が必要です。
「ひびが見える=同じ補修方法」とは限りません
屋根を地上から見上げただけでは、 ひび割れがどの程度進行しているかを正確に判断することは難しいものです。
実際の施工では、
- 表面だけに細いひびが入っているのか
- 屋根材の厚み全体まで割れているのか
- 上下の屋根材が重なる部分まで割れているのか
- 横方向へ長く割れているのか
といった状態を確認し、 補修方法を判断することが大切です。
筆者のひとこと
屋根材の割れは「割れているか・いないか」だけで判断するのではなく、 どこまで割れているかを見ることが重要です。 補修材の性能を十分に生かすためにも、施工前に屋根材の状態を確認する必要があります。
Q4. 屋根材の重なり奥まで割れている場合はどう補修する?
A. 専用の「くさび」を使って隙間を確保し、下の屋根材へ接着しないように補修します。
スレート屋根は、屋根材同士を上下に重ねて施工しています。
そのため、ひび割れが屋根材の表面だけではなく、 上の屋根材に隠れている奥の部分まで続いている ケースがあります。
このような場合には、 補修材をそのまま流し込めばよいわけではありません。
割れている部分へ専用のくさびを挿入し、屋根材同士の間に隙間をつくってから補修する方法 が示されています。
なぜ「くさび」で隙間をつくるの?
屋根材の見えている表面では補修材が乾いていても、 重なり合っている奥の部分では、 まだ十分に硬化していないことがあります。
その状態で上下の屋根材が密着してしまうと、 補修した屋根材が下側の屋根材に接着してしまう可能性 があります。
そこで専用のくさびを利用し、 屋根材同士が直接接触しないよう隙間を確保した状態で補修します。
そして補修材が完全に硬化し、 下側の屋根材へ接着しない状態になってから、くさびを取り外します。
ここが施工上のポイント
屋根材の割れを接着することだけでなく、 「下の屋根材へ接着させないこと」まで考えて施工するのが重要です。 見えない重なり部分まで確認して補修方法を判断する必要があります。
Q5. スレート屋根が横方向に長く割れてしまった場合は補修できる?
A. 資料では「タスフィルム」と「専用プレート」を連結して補修する方法が示されています。
スレート屋根の割れ方は、 縦方向の小さなひび割れだけとは限りません。
屋根材によっては、 横方向へ長く割れてしまうこともあります。
このような長い割れの場合には、 1か所だけを補修するのではなく、 割れの長さに合わせて補強する必要があります。
横に長い割れを補修する手順
割れが長いからといって、すぐ交換とは限りません
横方向へ割れが長く続いている場合でも、専用部材を組み合わせて補修する方法があります。
重要なのは、 割れの長さや状態を確認したうえで、その状態に対応した補修方法を選択すること です。
屋根材の割れ補修で大切なポイント
- 表面だけの割れでは、タスマジック本来の補強性能を十分に発揮できない場合がある
- 屋根材の重なり奥まで割れている場合は、専用くさびで隙間をつくって補修する
- 補修材が硬化する前に、下側の屋根材へ接着しないよう注意する
- 横方向に長い割れには、タスフィルムと専用プレートを連結する補修方法がある
- 割れ方・位置・長さを確認したうえで施工方法を判断する
筆者からひとこと
屋根塗装というと「どの塗料を使うか」に注目されることが多いですが、 現場では塗装前の屋根材に細かな割れが見つかることも珍しくありません。
その際に重要なのは、 ただ接着剤で表面を埋めるのではなく、 割れ方に合わせた補修を行ったうえで塗装工程へ進むことです。 こうした下地処理は完成すると見えにくくなる部分だからこそ、 施工前・施工中の確認が大切だと考えています。
タスペーサーも屋根補修も「施工判断」が重要
ここまで見てきたように、 タスペーサーの挿入位置や数量、 タスマジックを使った屋根材の補修方法は、 すべての屋根へ同じように施工できるものではありません。
屋根材の幅や形状、 突合せ目地の位置、 ひび割れの深さや方向などを確認しながら、 その屋根に合った施工方法を選ぶことが重要です。
特に屋根塗装では、 完成後に見えるのは新しく塗られた塗膜が中心です。
タスペーサー・屋根補修のよくある質問
タスペーサーやスレート屋根の補修は、屋根の状態によって施工方法が変わります。 「必ず同じ方法で施工する」と考えるのではなく、屋根材の形状・劣化状態・割れ方を確認して判断することが重要です。
屋根塗装業者を選ぶときに確認したいこと
屋根塗装では、塗料の商品名や金額だけでなく、 塗装前の屋根材をどこまで確認してくれるかも重要な比較ポイントです。
屋根塗装の見積もりを見ると、 「下塗り・中塗り・上塗り」や使用する塗料名などは比較しやすいと思います。
一方で、今回ご紹介したような、
- タスペーサーをどこへ入れるのか
- 屋根材の幅に合わせて数量を判断しているか
- ひび割れの位置や深さを確認しているか
- 割れ方によって補修方法を変えているか
- 補修後の状態まで確認してから塗装しているか
といった部分は、 見積書だけでは分かりにくいことがあります。
現地調査で屋根の状態を確認してもらう
屋根塗装を検討する際には、 まず現在の屋根材の状態を確認してもらうことが大切です。
屋根材の割れや欠損、 劣化の程度を把握しないまま塗装だけを進めても、 下地の状態によっては十分なメンテナンスにならない場合があります。
そのため、 塗装の提案だけではなく、屋根材の状態や必要な補修について説明してくれる業者かどうか を確認してみてください。
施工前・施工中の写真を残してもらう
タスペーサーの挿入やひび割れ補修は、 塗装が完了すると見えにくくなる工程です。
そのため、 屋根塗装を依頼するときには、 施工前・補修中・施工後の写真を残してもらえるか を確認しておくことをおすすめします。

施工前

施工中

施工中
静岡市で屋根塗装をご検討中の方へ
静岡外壁塗装相談センターでは、 外壁塗装だけでなく、 屋根塗装や屋根材の補修についても、 現在の状態を確認したうえで施工方法をご提案しています。
屋根は普段ご自身では確認しにくい場所です。
そのため、 「塗装が必要なのか」 「ひび割れは補修できるのか」 「屋根材自体を交換した方がよいのか」 など、 分からないことが多いと思います。
私たちは現地調査の段階から屋根の状態を確認し、 必要な工事と不要な工事を整理しながらご説明することを大切にしています。
外壁の塗り替えや外装リフォームと一緒に屋根をメンテナンスすることで、 足場を一度で済ませられる場合もあります。
筆者コメント
屋根塗装の品質は、 塗料のグレードだけで決まるものではありません。
今回ご紹介したタスペーサーの位置や屋根材の割れ補修のように、 一つひとつの屋根の状態に合わせて施工方法を判断すること が重要だと考えています。 完成すると見えなくなる部分だからこそ、 施工前の確認と下地処理を大切にしています。
まとめ|タスペーサーは「入れ方」まで確認することが大切
タスペーサーや屋根材の補修では、 部材を使っているかどうかだけでなく、 屋根材の状態に合わせて正しく施工されているかが重要です。
今回のポイントをまとめると、 次のようになります。
- タスペーサーは突合せ目地の真下を避けて挿入する
- 屋根材の幅や形状に合わせて使用数量を判断する
- 表面だけの割れではタスマジック本来の補強性能を発揮できない場合がある
- 重なり部分まで割れている場合は、下の屋根材へ接着しないよう施工する
- 横方向に長い割れには専用部材を連結して補修する方法がある
- 屋根塗装では、塗装前の下地確認と施工判断が重要
屋根は外壁以上に状態を確認しにくい場所です。
静岡市で屋根塗装や屋根修理をご検討中の方は、 塗料の価格だけでなく、 屋根材の状態を細かく確認してくれる業者かどうか も比較してみてください。






